介護報酬ファクタリングのデメリットにもご注意

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介護事業を営む方にとって、もっとも重要な収入源は、いうまでもなく「介護報酬」です。介護報酬は介護事業の生命線にほかなりません。

しかし、よくご存じのとおり、介護報酬の大半は2~3ヶ月程度後に入金されるのが通例です。そのため、その間に事業を継続させるため、あるいは設備投資などのために、資金繰りに悩まされることもあるかと思います。

資金調達の方法としては、金融機関からの融資なども候補になりますが、中でもファクタリングが主な選択肢となります。なぜなら一般企業にくらべて介護報酬の売掛先は公的機関になるために、ファクタリング手数料率の面で有利になるからです。

ただし、ファクタリングの活用には良い面ばかりでなく、デメリットもあります。健全に介護事業を継続していくためには、事前によく検討することが欠かせません。

本記事では、介護報酬をファクタリングで現金化するデメリットを6点取り上げ、それぞれにおいて、どんな点が問題となりうるのか、またどのような点に注意すべきかについて解説していきます。

介護報酬ファクタリングのデメリット1

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釈迦の耳に説法だとは思いますが、最初に介護報酬の入金タイミングについて復習しつつ、その中でどのようにファクタリングを利用するかを考えてみましょう。

介護報酬は、サービス利用額の1~3割を利用者から徴収し、残りの金額を各都道府県の国民健康保険団体連合会(以下、国保連と略)から支払われるのが基本です。

問題は、国保連から支払いを受ける分が入金されるのが、介護サービスを提供した日の翌々月25日前後となることです。一般企業の支払いサイトは末締め翌末払いというところが多いですから、それに比べると倍近く長いということになります。

この実際にお金を受け取るまでのタイムラグがあるため、資金が枯渇してしまうという事態が発生することがあります。

サービス提供月入金状況入金予定日
4月分入金済み6月25日頃
5月分未入金7月25日頃
6月分未入金8月25日頃
7月分サービス未提供9月25日頃

7月1日の時点では、まだ「5月分の介護報酬」を受け取れていません。

ですから、この「5月分の介護報酬」についてファクタリングを利用することが可能です。また「6月分の介護報酬」は、これから申請する段階ですが、こちらも請求内容がまとまっていれば、同様にファクタリングを利用できます。

一方で、「4月分の介護報酬」はもうお金を受け取っていますので、ファクタリングの対象とはなりません。

さらに「7月分の介護報酬」については、サービスをまだ提供していませんので、介護報酬の金額を確定できないことになります。

したがって、こちらもファクタリングの対象外とするファクタリング会社が多いと思います。

そういうわけで、ファクタリングで介護報酬を現金化する対象は、最大でも2ヶ月分の介護報酬に限られると考えたほうがいいでしょう。

そのため、それを上回るような多額の資金調達をするには、ファクタリングは不向きであると言えます。

介護報酬ファクタリングのデメリット2

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ファクタリングを利用すると、譲渡する売掛債権に対してファクタリング会社の手数料を差し引かれることになります。

このファクタリングの手数料率は、金融機関から融資を受けた場合の利息と比べると、高い場合があります。

これもデメリットのひとつということになります。

金融機関の融資は利息制限法の適用を受けるため、上限が決まっており、最高でも以下のような金利となります。

10万円以上100万円未満:年18%まで(ひと月当たり1.5%)
100万円以上:年15%まで(ひと月当たり1.25%)

一方で、介護報酬ファクタリングを利用した場合の手数料は、0.5%~3%程度の事業者が多くなっていますが、ファクタリング会社によって異なり、上限は定められていません。

前項で述べたように、介護報酬ファクタリングで現金化できる月数は最大でも2ヶ月分の介護報酬ということになりますので、もし手数料率が3%を超えるような場合は、融資で借りるよりも損をすることになってしまいます。

加えて、ファクタリング会社の中には、手数料のほかに、さまざまな名目の費用を徴収する会社もありますので、十分に注意することが必要になります。

実質的に手にすることができる金額を知るためには、ファクタリング会社に支払うさまざまな費用の総額で比較してください。

ファクタリングにかかる費用の詳細については、下記の記事で詳しく説明しています。

ファクタリングにかかるコストを分解してみた
銀行の融資条件とファクタリングの違い

介護報酬ファクタリングのデメリット3

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ファクタリングには、ファクタリングを利用する会社とファクタリング会社の2社で契約する「2社間ファクタリング」と、それに売掛先企業が加わる「3社間ファクタリング」があります。

ファクタリング会社の手数料は3社間ファクタリングのほうが安くなりますが、介護報酬のファクタリングの場合、3社間ファクタリングでは、介護報酬の全額を買い取ってもらうことはできない場合があります。

多くのファクタリング会社では、対象となる介護報酬全額に対して8割程度の掛目を適用し、そこから手数料を差し引いた額を介護事業者へ入金しています。

たとえば、国保連へ請求する4月の介護報酬が「900万円」だったと仮定しましょう。

ファクタリング会社の掛目が8割、ファクタリング手数料率が2%だとすると、受け取ることができる金額は、以下に示す通りとなります(ただし、これはファクタリング会社が手数料以外の費用を徴収しないものとした場合です)。

・掛目適用後の金額は720万円
・手数料144,000円を差し引き、7,056,000円を介護事業者へお渡し
・国保連からの入金後(6月25日頃)、掛目の対象外である180万円をお渡し

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このように、介護報酬を3社間ファクタリングで現金化する場合、利用時点では思ったよりもかなり少額の資金しか調達できないということになる場合があります。

3社間ファクタリングを利用する場合は、この点に注意が必要です。

介護報酬ファクタリングのデメリット4

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もちろん、他の業種と同じく、介護事業者も2社間ファクタリングを利用することができます。

この場合、契約の当事者は介護事業者とファクタリング会社の2社だけですから、最短で申込み当日の資金調達が可能になります。早急にお金が必要な事態にも対応できるということは大きなメリットになるでしょう。

ただし一方では、2社間ファクタリングを扱う事業者の中には、債権譲渡登記を行う費用を別途請求する会社があります。

この場合は数千~数万円のコストアップが生じることになります。

つまり、その分だけ受け取れる金額が減ってしまうということです。2社間ファクタリングを利用する場合には、費用の明細をチェックすることが欠かせません。

介護報酬ファクタリングのデメリット5

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介護報酬をファクタリングによって現金化することにより、最初の利用では2ヶ月分の債権があるので、それなりにまとまった金額が入金されることになります。

しかし、ファクタリングの利用が常習化してしまうと、ファクタリングに頼りすぎた経営に陥ってしまうおそれと表裏一体のものです。十分に注意すべきだと肝に銘じてください。

たとえば3社間ファクタリングを利用し、ファクタリング会社から毎月15日頃に入金されるというケースが常態化してしまった場合を考えてみましょう。

1~3月とファクタリングを利用しつづけ、3月でファクタリングの利用を取りやめた場合、入金される金額は以下の通りとなります。なお、掛目は8割と仮定します。

入金日サービス提供月項目
2月2月15日頃
2月末日頃
1月分
前年12月分
債権買取額の入金
買取対象外(2割相当額)の入金
3月3月15日頃
3月末日頃
2月分
1月分
債権買取額の入金
買取対象外(2割相当額)の入金
4月4月末日頃2月分買取対象外(2割相当額)の入金
5月5月25日頃3月分国保連から介護給付費の入金
6月6月25日頃4月分国保連から介護給付費の入金

上記の表に見られるように、3月末以降は、5月25日頃までまとまった収入が得られないことになってしまうことが分かります。

「買取対象外(2割相当額)の入金」とあるのは、8割の掛目外のファクタリング会社に買い取られなかった部分ですから、金額は大きくありません。

このため、途中でファクタリングをやめようとしても、約2ヶ月弱の間の資金繰りをどうするかという問題に直面することになります。

介護事業者の収入は、ほとんどが介護報酬という形になっているわけですから、それ以外の事業で増収するということは考えにくいでしょう。

一度ファクタリングを利用すると、なかなか抜け出せなくなり、ファクタリングに依存した経営に陥るという危険性については、よく把握する必要があります。

介護報酬ファクタリングのデメリット6

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ファクタリングの手数料率はファクタリング会社によって異なると書きましたが、手数料が低いということは、ファクタリング会社にとっては収入が少なくなるということです。

一方で、ファクタリングの契約にかかる手間そのものは、買取額や手数料率によってそんなに影響を受けるものではありません。買取額が少なく、手数料率が低いと、ファクタリング会社にとっては「儲からない」ということになるわけです。

そうしたことから、介護報酬ファクタリングを扱う会社の中には、次のような条件をつけている場合があります。

・1~2年の契約を結ぶ
・経営者個人の保証を求める

契約が長期になると、前項に書いたような「ファクタリングに依存した経営」に陥りやすくなります。

また保証をつけるとなると、なにかと面倒なことになりがちです。

このため、ファクタリングを利用する場合は、手数料率ばかりに注目するのではなく、後日のトラブルを防ぐためにも、契約条件にもよく目を通しておくことをお勧めします。

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