ファクタリングとでんさいの違いは?共通点は?
資金調達の方法としては、売掛金という債権を現金化するファクタリングがありますが、ファクタリングと同じように、債権を現金化するシステムとして、最近話題の「でんさい」というものがあります。
正式には「電子登録債権」といいますが、通称「でんさい」です。
でんさいも、ファクタリングと同様の機能があります。売掛債権の支払期日前に現金化できるという点は同じです。
でんさいの仕組みって?
債権を現金化するシステムのひとつである「でんさい」は、比較的新しい制度で、最近よく聞かれるようになりました。
2007年6月に電子記録債権法が成立し、翌2008年12月に施行されました。
中小企業など、事業者の資金調達の円滑化を図るために創設された制度です。
でんさいの目的は、「資金調達を円滑化すること」です。
まさに、売掛金の期日前の現金化のための制度とも言えるでしょう。
そういう意味では、ファクタリングとよく似ているとも言えます。
一般社団法人全国銀行協会(全銀協)という機関があります。
全銀協は、それまで手形交換制度や内国為替制度(振り込みシステム)などを企画・運営してきました。手形というのは、多くの企業にとって重要な決済インフラです。
それを扱ってきた全銀協が、この電子記録再建制度についても仕組みをつくったわけです。
それが電子債権記録機関、「でんさいネット」です。
でんさいネットとは、電子記録債権の登記所のようなものと考えればわかりやすいと思います。
それではでんさいを利用するにはどうすればいいのでしょうか。
でんさいは、全国の銀行や信用金庫などといった金融機関が取り扱っています。
ですから、普段利用している金融機関で確認したうえで、でんさいネットを利用できます。
まず、窓口となる金融機関を通じて、でんさいネットの記録原簿に「発生記録請求」を行います。
そうすると、その債権が「でんさい」となり、でんさいネットのシステム上で、譲渡ができるようになります。
このでんさいは、必要に応じて分割も可能です。つまり、この譲渡が支払いという機能になるのです。
つまり、あなたの会社が取引をした相手先(納入企業)が、あなたの会社が債権の発生記録をしたのと同じように、「譲渡記録請求」をするわけです。
そうすると、でんさいネット上では、支払期日になると、あなたの会社の口座へ入金され、相手先の企業の口座からは引き落とされるという仕組みです。
すべてをオンラインでできるので、このでんさいは、事業者の新しい決済手段のひとつとして、定着しつつあります。
さて、ファクタリングと比べてどこが違うかを見ていきましょう。
でんさいは、ファクタリングと同じ「売掛債権の債権化」ができるシステムですが、大事なことは、それが「支払期日前」にできるということです。
でんさいネットでは、支払期日前の譲渡や割引が簡単にできるのです。そのため、ファクタリング同様、期日前の現金化が可能ということになります。
でんさいネットとファクタリング、譲渡の仕組みの違いは?
でんさいネット=電子記録債権の登記所のような「電子債権記録機関」は、全国的なシステムです。全国どこにでもある、銀行のATMシステムのようなものと言えばわかりやすいでしょう。
自社が口座を持っている金融機関がでんさいネットに参加していれば、新たに口座をつくる必要もありません。
そのままですぐにでんさいを利用できます。
全国で統一されているシステムですから、取引先が増えても、同じ手続きででんさいを現金化することができます。
一方、ファクタリングは、特定の売掛債権の取引です。
一企業であるファクタリング会社がサービスを提供するものですから、利用のたびにファクタリング会社と契約をする必要があります。
でんさいの全銀協のように、全国的な組織が関与することはありませんから、契約の書式などは、サービスを提供するファクタリング会社がそれぞれ自由に決めています。
でんさいとファクタリングの大きな違いのひとつには、保証に関することがあります。
でんさいを利用する場合は、その売掛債権を譲渡した企業、つまりあなたの会社が保証人となります。保証人ですから、支払いリスクを負うことになります。
もし、なんらかの事情によって(たとえば倒産したりして)相手先(納入企業)の企業が、その売掛金を支払うことができなかったとすると、あなたの会社は、保証人として、それを支払う義務を負うことになります。
売掛金が未回収になった場合と同様ということですね。
一方、ノンリコースのファクタリングの場合は、もし、期日に支払いがなされなかったとしても、あなたの会社はそれを弁済しなければならないリスクを負うことはありません。
なぜなら、その「売掛債権」はファクタリング会社に売買し終えたものであり、その売掛金が未払いになるリスクは、債権と同時に、債権の新しい持ち主であるファクタリング会社が負うことになっているからです。
このように、万が一の際の支払い義務を負うことなく、売掛債権を譲渡し、期日前に現金化できるということが、でんさいと比べてのファクタリングのメリットと言えるでしょう。
いわゆる「貸倒れリスク」を負わないため、会計処理上で貸倒引当金を計上する必要もありません。財務諸表の健全化をはかることもできるので、でんさいを利用するよりは、ファクタリングを利用する方が有利であると言えます。
ただ1点、注意しなければならない点があります。
ファクタリングは、貸倒れリスクを含めた「売掛債権」を売り買いすることになりますから、その分、ファクタリング会社に支払う手数料が増える可能性があるということです。
この手数料は、あなたの会社の「売掛債権」から差し引かれますので、手元に入るはずの現金化された金額は、その分少なくなります。売掛金の額面そのまま全部を受け取れるわけではないのです。
ファクタリングの手数料料率は、ファクタリング会社によっても大きく違いますが、私たちレイトラストでは3%から15%までに手数料料率を設定しています。
この料率は、実際に、その売掛金の貸倒れリスクを審査したうえで算定しますので、一概に決まった料率をお伝えすることはできません。
でんさいとファクタリングの手続きの違いは?利便性は?
では、次に、でんさいとファクタリングとで、実際に「売掛債権」を譲渡する際の手続きがどのように違うかを見ていきましょう。
でんさいの手続き
でんさいは、でんさいネットに参加している金融機関の口座を持っている企業同士であれば、特別な契約を締結することは必要ありません。
全銀協が提供しているシステムですから、でんさいネットには、都市銀行・信託銀行をはじめ、地銀、信用金庫、JA等、全国の金融機関が参加しています。口座を所有すること自体のハードルは比較的低いと言えるでしょう。
ただし、相手先の企業がでんさいネットを用いた決済をちゃんと理解し、導入しているかということがネックになる可能性はあります。
でんさいネット決済は、双方の企業の協力がなければ行うことができません。いくらあなたの企業がでんさいネット決済を行いたくても、相手企業がそれに合意するかどうか、方針次第ということになります。
場合によっては、このハードルも高くなることもあるかもしれません。
ファクタリングの手続き
ファクタリングは、でんさいネットのように共通のシステムを使うものではありません。
ですから、ファクタリングを利用するたびに、ファクタリンク会社と新しい契約を締結することが必要です。
そう説明すると、なんだかファクタリングのほうが手間がかかって面倒なように思うかもしれませんが、システムを利用しないからこそ、スムーズにことが運ぶこともあります。
私たちトムズパートナーでは、スムーズな審査プロセスを徹底していますから、早い場合にはお申込みいただいた当日に現金化することも可能です。
でんさいとファクタリングの事務手続きの違い
でんさいとファクタリングでは会計処理という事務手続きの違いもあります。これは、場合によっては非常に厄介なものとなるかもしれません。
と言いますのも、でんさいネットでは、会計の処理方法が通常の取引の際の会計処理方法と異なるからです。
具体的には、「売掛金」という勘定項目に対応するように「電子記録債権」という勘定項目を仕訳けなければなりません。
新たに勘定項目を増やすということは、会計担当者にとっては、大変面倒なことです。
また、その仕訳を行うタイミングも、実際にでんさいネットで確実に発生記録がなされたタイミングと合わせなければなりません。
さらに、決算書の記載も変更する必要が生じる可能性があります。
こうした事務処理プロセスの変更は、うっかりミスなどにもつながりやすいものです。税務署の監査が入った際に、場合によっては、粉飾決算をしているという余計な疑いを招く可能性もあるのです。
でんさいを利用する際には、このような事務リスクがあることをおぼえておきましょう。
これに対して、ファクタリングを利用しても、会計処理を何か変更する必要はありません。
売掛債権がそのまま現金化されるわけですから、決算書においても、もちろん変更する必要はありません。
でんさいと手形の違いは
最後に、でんさいと「手形」の違いも知っておきましょう。
手形は歴史もあり、かつては非常に一般的な決済方法として定着していましたが、今では、IT化の流れもあり、毎月、手形を使って実際に決済を行っているような企業はかなり少なくなりつつあります。
手形交換所も、かつてのようにどこにでもあるものではなくなりました。
手形とは、記載されている期日まで待っていればその額面で現金化できるものですが、期日前に現金化するためには、「割引」ということをする必要があります。
この「手形割引」は、手形を銀行に持ち込むことで割り引いてもらうことができます。
手形割引を行うと、額面から割り引きされた金額が、期日前に現金化され、手元に入ります。
でんさいというのは、この手形の決済を電子システムで行っていると考えると、わかりやすいです。
手形という紙の形態ではなく、電子化されたペーパーレスの債権が、でんさいなのです。
電子化したことでひとつメリットがあります。
それは、紙の手形では必要な印紙税がかからないということです。
なぜ、あれほど隆盛を誇った手形という決済手段があまり行われなくなったかというと、この印紙税がばかにならないからで、多くの企業がコストを圧縮した結果、手形を使う企業はどんどん減っていってしまったのです。
でんさいが登場する以前の紙の手形は、紙という物理的な特徴として、発行や保存、郵送といった、少なくない事務処理を必要としていました。
電子化されたシステムであるでんさいには、このような事務的な負担が大幅に軽減されることになります。早く言えば、紛失してしまうというようなリスクがないのです。
今回は、でんさい、手形、ファクタリングについて、共通点や違いなど、さまざまな面をご紹介しました。
決済方法というものは、その時々の会社の状況などによって、いちばん利便性がよくて、かつ、会社の事業にとってもいちばん効果がある方法を選ぶことをお勧めします。
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